前ボケでつくる、やわらかほわほわフォト
絞りを開放にするとできるボケ。主役を強調させるために背景をはっきり写さないようにしたり、ごちゃっとした背景を隠すためにぼやかすこともできますよね。今日ご紹介したいボケは、ほわっとしたやわらかい雰囲気を出したり、画面に不思議な色味を加えたような雰囲気を出せる「前ボケ」です。方法さえわかれば、だれでも簡単にできるので、おうち時間中にワザを身につけてみてください。
目次
ボケは後ろだけでなく前にも作れる
写真をはじめたばかりの頃は、「ボケってすごい!」とただやみくもに背景をぼかして気が済んでいたのですが、ボケは奥深いなぁと思います。今回お話したいのは、前ボケです。
被写体の手前側をぼかすことによって、にじむような、やわらかくほわほわした雰囲気の写真が撮れます。
ポイントは絞りと距離
では、ほわほわ前ボケフォトを撮ってみましょう。まずは実験です。
ベランダに咲いているマーガレットを特に工夫もせずに、このレンズの一番開放の絞り(F1.8)で、ピントを咲いているマーガレットの花粉の部分に合わせて撮りました。こちらを基準のポジションとレンズ側の設定として、比べてみましょう。
前ボケに使うアイテムとして選んだのは、同じくベランダにある、何の変哲もなく、むしろ砂ぼこりをかぶって薄汚れたプラスチックのジョーロです。
先ほどの基準のポジションと設定のまま、ジョーロがレンズにくっつくくらい、すぐ近くに構えます。距離感のイメージとしては、こんな感じです。
ジョーロは画面の左斜め半分に入るように構えています。ピントの位置は、マーガレットに合わせたままです。
どうでしょう?左側にほわっとした青みが入りました。青い光でも差し込んできているような気がしますが、これがまさかの砂ぼこりを被っていたジョーロなんです。物体としてはっきり写り込まずに、ぼけてくれているのがポイントなんですね。
もうひとつ、素材感が違うもので、タオルで試してみましょう。
タオルなら、どこの家でも必ずあって、色や大きさいろいろあると思いますのでバリエーションを変えられる一品。何度も使ってる感があって、見せるのすら恥ずかしいのですが、マーガレットの色味と近い色味が出せそうだな、というもくろみで引っ張り出してきました。早くぼかしちゃいましょう!
基準のポジションと設定のまま、レンズ近くにタオルを近づけましたが、こちらも左側がピンク色に染まりました。タオルだったら、写真撮影に行くときにもきっと持っていると思うので、小道具として使えますね。
ちなみに、ほわほわした雰囲気を作るには、絞りはできる限り開放にするのがおすすめです。絞れば絞るほど、ピントを合わせていない部分もはっきりと写るようになるためです。
試しに、ポジションは同じで、絞りをF8にして先ほどのジョーロをレンズに近づけます。
手前に何が写っているかまでは分からないと思うのですが、この場合はなんとなく唐突に余計なものが入っちゃったような感じがします。もちろん、正解や間違いはないので、場面にあわせて調整していくのが良いと思います。
画面を遮らずにボケてさえくれれば、紙でも木の枝でもなんでも使えますが、光を通しやすい薄めのものや、柔らかい素材のものが使いやすいかと思います。
実践! 使える場面は幅広い
では、実際にどんな場面で前ボケが使えそうか見てみましょう。
風鈴の手前にあった造花を前ボケさせてみました。風鈴だけだと質素な雰囲気だったのですが、造花がちょうど風鈴の絵柄の色とマッチしていて、一気に明るい雰囲気になった気がした一枚です。
昼間だけではなく、夜フォトにも使えます。
こちらも前ボケを使って撮りました。手前に光に照らされたクリスタルがあり、この前ボケで二枚を重ねたような写真になります。
ポートレートにも雰囲気が出ておすすめです。
もうちょっと手前の植物がぼけて、とろけるような雰囲気にできたら良かったかなぁ。どのくらいぼけるレンズか、被写体や前ボケ対象物との距離で雰囲気が変わってきます。
ボケは背景をぼかすだけでなく、手前をぼかすことによって、表現の幅が広がってくることがお分かりいただけたでしょうか? 前ボケは、画面がなんとなく味気ないな、とか、手前にあるものがちょっとジャマだなぁ、というようなときにも使える簡単なワザです。ポイントは、絞り開放 + レンズ近くにぼかしたいものを配置して、奥の方にピントを合わせる、です。文章にすると難しく聞こえるかもしれませんが、まずは手始めに、片手にタオルなどを持ちながら、トライしてみてくださいね。
編集/カメラガールズEditorsりさっぴ