2020.10.22

クリエイティブな人たち Vol.5 「プロカメラマン You Ishii」

今回で第5回目の「クリエイティブな人たち」。この企画では、編集部が見つけた「クリエイティブな人」をインタビュー形式でご紹介していきます。今回はプロカメラマンとしてご活躍されている、You Ishiiさんにお話を伺いました。プロの世界に入ったきっかけや、撮影写真へのこだわりなど、『クリエイティブなこと』をたっぷりと伺いました。

プロカメラマンというお仕事

編）写真を始めたのはいつ頃ですか？また、きっかけを教えてください。
－小学4,5年生の夏休みです。
元々じいちゃんが写真が好きで、「自由研究は写真日記にしなさい。毎日どっかに連れて行ってやるぞ。」と言われて始めました。
今思うと孫と遊ぶきっかけにしたのだと思います（笑）
でも知識なんてないのでオートで撮ってました。

編）プロのカメラマンになったのはいつ頃ですか？また、きっかけを教えてください。
－スタジオに入ったのが25歳の後半。カメラマンのアシスタントなどして独立したのは30歳になる直前です。専門学校とかにも行ってない知識ゼロからのスタートです（笑）
スタジオに入る前に色んな国にバックパッカーで行っていたのですが、行く先々の国で大人にも子供にも写真を撮ってくれって頼まれるんですね。
この頃も趣味で撮っていた程度で、やはり知識も無いし適当に撮って流してました。でもインドに滞在していたある日、昨日まで生きていた物乞いと言われる人が翌朝死んでいて、警官が確認の為に棒でつついていたんです。
日常の中に当然の様に組み込まれている「死」というものの身近さに衝撃を受けて、「昨日適当に撮った人たちも、明日には死んでいるかもしれない。」「最後の姿を写した写真になるかもしれないのに、めちゃくちゃ適当に撮っちゃったなあ。」とすごく後悔して、カメラマンになる道を考える様になりました。
編）死を身近に感じたという経験が今のお仕事につながっているのですね。

編）使用機材や、機材に対するこだわりなどあれば教えてください。
－デジタルカメラならCanon5D MarkⅣ、SONY α7RⅢ、LeicaM10です。メインに絶対これ！というのは特に無く、撮りたい画と状況によって変えています。ピントの合う早さはCanonが断トツですし、オールドレンズや天気の悪い中で手ぶれ補正が欲しければSONY。
静かに被写体と向き合って撮るならマニュアルのLeica。といった感じです。レンズはCanon、SONYなら24-70mm,70-200mmで、Leicaは35mm,50mmと寄って撮るための90mmがあります。
フィルムは初めて自分で買ったカメラのCanon New F-1、LOMO LC-A、Konica、ライカの黒歴史？のライカミノルタCLなどです。
最初は街歩きにもCanonだったのですが、どんどん軽く小さくしていって今はLeicaです。そのうちHasselbladもFUJIFILMも買っちゃいそうですけどね（笑）

編）カメラを色々と使い分けておられるのですね・・・！お仕事ではどんな写真を撮影していますか？
－ポートレートが多いです。広告や雑誌や写真集やSNS用も。
俳優さん、女優さん、声優さんやアーティストさんやたまにハリウッドの方が来日した際も撮影させて頂いてます。
ブツ撮りはほとんどありません。

編）ハリウッドの方までとはすごいですね！ハリウッドを含めて多くの芸能人の方々を撮影されていますが、緊張はされませんか？
－最初はガチガチに緊張してビビっていましたが、それはその人のステータスにしか目がいっていないんだなって思いました。
人と人が交わるのは当然のことなんだからって思ったら平気になってお話もする様になりました。
尊敬と畏怖は違うなと思います。

編）失敗談などあれば教えてください。
－駆け出しの頃、ちょっと遠くへ撮影にいく際に使った電車の網棚にスタンドバッグを忘れてしまってめちゃくちゃ焦りました！
結局ライトは手で持ったり担当さんに持ってもらったりで撮影は無事終えましたが、それ以降絶対に網棚にはのせてません（笑）

編）プロのカメラマンになって大変なこと、苦労していることなどありますか？
－短い納期のものが重なるとひいひい言ってます（笑）
あと機材で部屋の一角が埋まるので常に狭さを感じています。
編）プロの機材となると一際大変そうです・・・！

編）プロのカメラマンになってよかったと思うことはありますか？
－誰かが見て喜んでくれる時ですね。
今はSNSでファンの方から直に連絡がきたりもしますので、それも励みになります！被写体の方から宣材に使って良いかとよく聞かれますが、その人らしさが撮れているのかなって思って裏で喜んでます（笑）

編）正直、儲かりますか？（笑）
－どうでしょう、、、売れる売れないがはっきりでるので一概には難しいですね。独立して1,2年は色々事情があって俗に言う「食えない時期」でした。外食で800円する物が非常に高く感じました笑
今は、、、少しは？（笑）
編）かなり儲かっているとお察しします（笑）

写真へのこだわり

編）ライカのカメラは他のカメラとどのあたりに違いを感じますか？
－不便です！露出もピントもマニュアルでレンジファインダーも慣れないと合わないし、単焦点ばっかりなのでズームはできないし、レンズの設計的に被写体に寄れないし、手ブレに弱いし、レンズでも何でも一個一個高いし、、、いざって時に役に立たないカメラなんです笑
でもそれ故に一枚一枚大切にシャッターを切れるし、ピントをずらした写真や、被写体がキメた瞬間からわざと一拍はずして撮ってみたり、ブラしてみたり、写真の幅が拡がりました。
意外だったのが、長年撮られている被写体の方ほど「お、ライカか。気合い入れて撮られなきゃ！」なんて言って喜んでくれることも多いです。
不便さがあるから愛着が湧いてきます。
編）不便なのにやはりLeicaという存在は特別なのですね。

編）趣味ではどんな写真を撮影していますか？
－街中のスナップや、たまにSNSで知り合った人と撮影もします。
そういった時はドキュメンタリーの様なものを自然と撮ってます。

編）撮影・現像でのこだわりがあれば教えてください。
－細かいポージングの指示などはしませんね。
キーワードだけ伝えて、あとはご本人の中で解釈してもらってます。

編）ライティングのこだわりを教えてください。
－光のあたり方だけではなく影の作り方も意識しています。
色もよく使いますね。多灯使いをよくします。

編）撮影のアイディアはどのように出てくるのでしょうか。
－意識せずとも事前に色々インプットはされてますね。小説でも映画でもアニメでも歌でも歩いててもです。
でもその場の空気感や被写体を見た時にぱっと浮かぶことも多いです。ここで遊ぶとしたら何ができるかなって。
あとは仕事の内容や使い方に合わせて変えていきますね。

目標とメッセージ

編）今カメラ女子にオススメのカメラを教えてください。
－金銭的余裕がありならばやはりLeicaをおすすめします！
あとはSONYのα7CとかFUJIFILMのX-Proシリーズとか、首から下げれる様な軽いものがおすすめです。
重いと色々脳内で言い訳して持って歩かなくなります。僕だけかもしれませんが。
編）Leica欲しいです（笑） SONYα7Cも今話題ですね！持ち歩くならやはり軽い方がいいですよね・・・。

編）最後に、プロのカメラマンを目指している人に何かアドバイスやメッセージを頂けると嬉しいです。
－正直なところ写真って趣味で終わらせてもいい世界なんですよね。フリーランスだとプロってものの境界が曖昧ですし、SNSのフォロワー数が少ないからって理由で選ばれなかった事もあります。写真で食べていけないから辞めていった人も周りに何人もいます。
自己表現のための手段の一種なので自己中心にもなりやすいですし、それを否定される覚悟もやった事の責任を全部自分で負うことも必要です。でも自分らしさを持って続けていれば何かしら結果がでますので、肝心なのは辞めないことです。
あと現実的な話、安く仕事をやらせてようとしてくる人と仕事をしないこと。「次にいい仕事あったらお願いしますから」なんて言ってくる人には要注意です。次なんてありませんし、あっても更に下げてきます。目先の仕事欲しさに全体の相場より下げるのもNGです。価格競争をしていると巡り巡っていつか自分がやる仕事の相場を下げてしまいます。自分の価値を大事にしてくださいね。
まだまだ僕も途中ですので、何か新しいことができる様になった時は嬉しいです。
頑張って続けてるインスタなんてフォロワー少ないままです（笑）
色々いいましたが全部が自分の為の時間にできるので楽しいですよ！
一緒に頑張りましょうー！

編）You Isiiさん、インタビューへのご協力ありがとうございました。プロカメラマンだからこそのお話はとても興味深く、また刺激をたくさん頂けました！

なお、こちらでご紹介している作品はほんの一部です。You Ishii さんのインスタグラムやWEBサイトでは彼の世界観に魅了される作品がたくさん掲載されていますので、そちらもぜひご覧になってくださいね。