福井県の「越前漆器」とサステナブル、テーマある旅のススメ
あなたは普段、どんなテーマで『旅』を楽しんでいますか?
絶景を見る、温泉に入る、自然に触れる、フォトジェニックな写真を撮る、美味しいものを食べるなど……旅の「定番テーマ」もいいのですが、今回ご紹介する旅は「漆器」と「サステナブル」をテーマにした旅です。
向かう先は福井県、ここで「漆器」を深く知り・撮り・楽しむ旅を体験します。
目次
なぜ、今「漆器」なのか
そもそも「漆器」をテーマにした旅をしたいと思ったきっかけは、サステナブルな暮らしについて興味がわいたからなんです。普段使っている器はどこでも売っているような安いものが多いのですが、だからかすぐに割れてしまったり、特別な思い入れがないため、飽きたらまた新しいものを買い直したり……。そういえばこの器たちが『どこで、誰が作ったものなのか』知らないし、長らく愛用している器なんて、ひとつもない。『いいものを大切に、ずっと長く使うこと』がサステナブルな暮らしへと繋がるのであれば、少しやってみてもいいかもしれない。そう思ったわけです。
しかし、どの器を選べばいいのか…..? 調べてみると、日本の中でも歴史がある器は福井県の「越前漆器」だということを知り、実際に現地に行ってみようと思ったのが、今回の旅のはじまりです。
旅の前に知っておきたい「越前漆器」の知識
越前漆器は福井県の伝統工芸品で、その歴史はなんと1500年だそう。1500年前というと、古墳時代の末期にあたる6世紀だそうですよ。
越前漆器の魅力は「美しさ」と「堅牢さ」。木地師、塗師、蒔絵師、沈金師など各工程ごとに職人さんがいて分業する体制になっているため、それぞれが専門的に腕を磨くことができ、技術がどんどん高まっていったそうです。
ガラスや陶器のように割れる心配もなく、長く使っていける。まさにサステナブルな器です。
*越前漆器の歴史について詳しく知りたい方はこちらがおすすめですhttps://www.echizen.or.jp/echizenjapan
漆琳堂で運命のひとつを
訪れたのは福井県の鯖江市の『漆琳堂(しつりんどう)』。
寛政5年(1793年)創業で、200年以上越前漆器を作り続けているという歴史ある店舗。お店にはたくさんの器が並んでいます。ここならきっと”運命のひとつ”と出会えるんじゃないかと思い、訪れました。
まず商品を手に取ってみると驚くのが、その質感。器は木材でできているのでとても軽く、そして漆は手にしっとりとフィットするような上質な手触り。安く売られている大量生産品とは、まるで違うことが手に取った瞬間にわかります。
さらにここにきて驚いたことは、越前漆器も時代に合わせて進化しているということ。昔ながらのデザインのものだけでなく、自社ブランド「RIN&CO.」や「aisomo cosomo」など、現代的な美しさも兼ね備えた、アート性があふれる作品も豊富に並んでいます。
店員さんに作り方を聞いてみると、地元越前の手漉き和紙、楮落水紙(こうぞらくすいし)を何枚も貼って補強した『和紙貼り椀』や、塗師が漆を塗る刷毛の跡をあえて残す「刷毛目」という伝統技法を用いた『刷毛目椀』など一つ一つを丁寧に教えてくれました。職人さんのこだわりを聞き、実際に見て、触れて、選ぶこと。これは通販では味わえない、現地ならではの醍醐味です。店員さんの説明を聞いていたらどれもが愛おしく思えてしまい、”運命のひとつ”どころか、いくつも購入をしてしまいました。
現地の食を、越前漆器でいただく
椀椀(わんわん)というお店にも伺いました。ここは、うるしの里会館内にある喫茶コーナーで、越前漆器をテーマにした旅なら必ず訪れたい場所です。
というのも、このお店では全ての器が越前漆器で、それとともに地場産の食材を使用したお料理をとてもリーズナブルにいただくことができるんです。
お料理は喫茶コーナーと呼ぶにはあまりにも豪華で、品があり、食べてみるとどれもが美味。シンプルな味付けが食材の美味しさを引き立てています。福井といえば食が美味しいことでじわじわと人気が高まっている県ですが、食べてみるとその素晴らしさがわかります。ここで味わった至福は何にも変えがたい特別なものでした。
※椀椀のお膳料理は事前予約が必要となります
椀椀(わんわん)のメニューはこちら
https://wanwan.shopinfo.jp/pages/4179958/menu
もっと深く越前漆器を知る
最後に訪れたのは、先程の椀椀(わんわん)が入っている館、うるしの里会館です。ここでは木地から加飾まで漆器の製造工程を見学することができるほか、越前漆器のあらゆる知識を学ぶことができます。さまざまな器の販売もしていて、いろいろな商品を比べながらお買い物したい方にはぴったりの場所。今回は旅の最後に訪れましたが、最初に訪れてもいいかもしれません。
歴史的資料や、実際の制作風景など、知れば知るほど越前漆器がどんどん特別で大切なものに思えてきます。
『ものの背景に触れて、いいものを大切にする』
この旅を通して、そんな楽しさや喜びを得ることができました。フォトジェニックで写真映えする旅も時にはいいけれど、こういった「テーマ」のある旅もおすすめです。
サステナブルな生活を、ぜひあなたも福井県からはじめてみてください。
ちょっとした豆知識ですが、越前漆器といえば、ゴディバ ジャパンが注目した伝統工芸品でもあります。今年の日本進出50周年を記念して、福井の「越前漆器」で製作したチョコレートを入れる専用ボックス『バロタン』をGODIVA café全店で数量限定で発売しています。バレンタインに合わせた特別版も発売されたそうですよ。
こういった何気ないニュースも、現地に行き背景に触れた後では、とても特別なものに感じます。今後も越前漆器の進化が楽しみです。