ホワイトバランスって一体なに? 設定はどうやるの?
写真の本や記事にたびたび出てくる「ホワイトバランス」という単語。これってなんのことか知っていますか? 知っていても「いつもオートで撮ってるなあ」と思う方もいるかもしれません。もちろん普段はオートでもいいんですけど(私もオートで撮ることの方が多いです)仕組みを知っておくといろいろ便利なこともあるので、「ホワイトバランスとは?」を簡単に解説したいと思います。
目次
ホワイトバランスって一体なに?
簡単に説明すると、ホワイトバランス(機能)とはその名の通り「白」を「白く」写すための、色バランス(補正機能)のことです。
光には「色温度」がある
光は種類によって、さまざまな「色温度」というものを持っています。
表を見ると、ろうそくの光は暖かいオレンジ色、晴天の日陰は青い光となっていますね。上記の数字は光源の温度ではなく、光の「色」を数値で表したもので、単位はK(ケルビン)と言います。
一般的に昼間の太陽光は5,500K、白熱電球は3,000~3,500Kくらいと言われています。数字が低いほど暖かい光の色、高くなるほど冷たい光の色になります。
※フィルム時代はこの色温度に合わせた「タングステンフィルム(白熱灯下向け)」「デーライトフィルム(太陽光向け)」と使い分けていました。光源によってフィルムを使い分けたり、細かい調整はカラーフィルターを使わななきゃいけなかったのでなかなか大変ですよね。
それじゃあカメラの設定はどうするの?
https://cam.start.canon/ja/C002/manual/html/UG-06_Shooting-1_0150.html
さて、ここでカメラの設定です。上記はCanonの設定画面となりますが、左から「AWB(オートホワイトバランス)」「太陽光」「日陰」「くもり」「白熱電球」「白色蛍光灯」「ストロボ」「マニュアル」「色温度」となります。実際の色温度の並びと違うので、ちょっと感覚的に設定しにくい部分がありますね…。(色温度順で並べるなら「白熱電球」→「白色蛍光灯」→「太陽光」→「くもり」→「日陰」となります)
前述の通り、通常はAWB設定で良いと思います。思いますが、ミックス光源(自然光と白熱電球の両方の光が混じる場所など)下で、カメラのレンズを向けた具合で色味が変わってしまい、雰囲気がバラバラになっちゃう!というときは、太陽光や曇りなどの「シーン設定」を選ぶか「K」モードで数値を設定する必要があります。
(「マニュアル設定」はグレーカードというのを撮影し、そのグレーを基準色として「白」を作るモードになります)
シーンモードであれば、その時の天気や光源に合わせてチョイスすれば、それに合わせた色温度補正をしてくれます。
K値で指定する場合、晴天日陰(約7,500K)の場合は「Kモード」から「7,500K」(もしくはその前後の数値)を設定し、「赤み」を当てることで晴天日陰の「青み」の光を打ち消し、白いものが「白」く写るようになります。
ホワイトバランスを使って「表現」をしてみる
さて、ホワイトバランスは「白を白く写るようにするもの」とお伝えしました。でも、白いものを正しく白く写すだけが「表現」でしょうか?
下記の写真は現像時にホワイトバランスを調整した写真になってしまいますが、「色温度の変更」による印象の違いをご紹介したいと思います。
こちらは元の写真、夕暮れに染まりはじめた空を撮りました。これはこれでよいのですが、実際はもっとピンクの色をしていたので、ホワイトバランスを3,000Kの方へ(色温度を低く)寄せてみようと思います。
色温度を変えたものがこちら。実際に見た色に近くなりました。
こちらは被写体としてメジャーな国際フォーラムです。こちらもほぼ見た目通りの「正しい色」なのですが、この不思議形に合った透明感のあるクールな感じにしてみたいと思います。
ホワイトバランスを7,000Kの方へ寄せて(色温度を高くして)みました。だいぶ印象が変わって、現実感のない感じになったと思います。
これがもともとの色。刻々と空の色が変わっていく、美しくもホワイトバランスが難しい時間帯です。
ホワイトバランスの数字を高くして(色温度を高くして)、ちょっと切ないような、青みが印象深い空に変更してみました。
こちらはホワイトバランスの数字を下げ(色温度を下げ)、ドラマチックな赤みの空にしてみました。
写真を寒色か暖色にするかで、同じ被写体でもだいぶ受ける印象が変わりますよね。自分の表現したい印象に合わせ、ホワイトバランスをいじってみるのも面白いと思います。
さて、ここでちょっと注意しておかなけばならないのは、撮影の段階でホワイトバランスを大きく変えて撮る場合、その後パソコンで現像する際に「ナチュラル」な色温度に戻そうと思っても色が破綻してしまうことがあります。撮る前に、どういうイメージで撮りたいのか、しっかり考えてからホワイトバランスの変更をするようにしましょう。
カメラガールズ編集部 イチ/ Instagram